今回は、神奈川県山北町を無料で案内してくれる軽トラツアーのお話をします。めちゃめちゃ楽しかったので記事にしました!
- イシタカさんとは何者?
- 軽トラツアーの内容とは?
- 神奈川県山北町ってどんなところ?
- 流れではじまった野食会
といったことが分かる内容になっています。
- 神奈川県山北町への移住に興味ある
- 最近話題の軽トラツアーについて知りたい
- イシタカさんに興味がある
- 野生食材に興味がある
Twitterでイシタカさんを知り、DMを送る
ことの始まりは「Twitter」だった。
齢27にして、神奈川県の山奥で林業と狩猟を生業にしている男がいる。しかも自分が住む神奈川県山北町を無料で案内する軽トラツアーを開催しているときた。
その魅力的なライフスタイルと会う事の敷居が低かったことから、すぐにDMを送り軽トラツアーの参加を申し出た。
イシタカさんは快く引き受けてくださり、仕事の無い土日の日程を調節して実際に参加することになった。ありがてえぇ!
イシタカさんとは?

イシタカさんの本名は「石田貴久(いしだたかひさ)」。
神奈川県の水源である山北町に住んでおり、林業と狩猟という面白い生き方をしている若い男性だ。
イシタカさんのnoteにも同じことが書いているが、一応ここでもイシタカさんのプロフィールを載せておきます。
イシタカ(27)
本名:石田貴久
- 森林組合の人(きこり)
- 東京農業大学OB
- 緑のふるさと協力隊OB(福井県)
- 地域おこし協力隊OB(福井県)
- 三保青年会、山北町消防団
- 世附の百万遍念仏保存会
- 猟友会
- H21奈良インターハイ(陸上競技・3000mSC)
- 過去に小田原、世田谷、網走、福井で居住
- H29やまきたにUターン
- 穏和な性格
- ホスピタリティレベルの自己評価「中の中」
- フィッシュマンズが好き
- ハリウッドザコシショウはもっと好き
私と軽トラックとそこのあなたより引用
軽トラツアーとは?
軽トラツアーとは、「山北町」や「イシタカさん」に興味がある人をイシタカさん本人が軽トラで無料で案内してくれるイベントのことです。
軽トラの乗車人数は2人なので、必然的に参加できるのは1人になります。しかし、参加者側から車を出せるのであれば複数人での参加は可能とのことです。
軽トラツアーの目的は、山北町に関心があってこの地域と交わりたい人とのコネクションになることであるとnoteに記載されていました。
- やまきたのことを(さらに)知りたい人
- やまきたで新しいことを始めたい人
- やまきたで調査やヒアリングをしたい人
- 私に会いたいと思ってくれている人
イシタカさんのnoteより引用
もしこのような人がいましたら、イシタカさんにご連絡してみてはいかがでしょうか?
特に決まったコースがあるわけではなく、参加者の方の要望によってそれに見合ったコースを用意してくれるみたいです。
僕の場合は「山北町」よりも「イシタカさんの生き方」自体に興味があったので、その旨を伝えました。
平日はイシタカさんは仕事があるので、休みの日(土日祝)で日程を調節することになります。軽トラツアーの時間は半日程度ですが、希望に応じて丸1日もアリとのことです。(太っ腹ですね)
神奈川県山北町(やまきたまち)とは?
山北町とは、神奈川県西部(左端)に位置する人口約1万人の町です。
自然が豊富なことから、ハイキングやキャンプなどを目的にくる人が多い印象でした。
駅前の桜並木が美しく、「桜祭り」が開催される日に合わせて訪れるのも良さそうですね。
詳しい話は、軽トラツアーの内容をご紹介するとともにお話ししていきます。
山北町の公式HPはこちら
軽トラツアーの内容を紹介する(僕の時の一例)
もう一度言っておきますけど、軽トラツアーの内容は毎回同じではありません。
この記事を読んで「私もこんな内容が良い!」と要望を伝えるところまでは構いませんが、イシタカさんにも予定や都合があるため、必ずしも再現してくださるとは思わないでください。
あくまで「こんな体験をしたよ!」という一例なのであしからず
山北駅へ到着

駅へ到着した僕はドキドキしながら改札の向こう側へ
改札を出てあたりを見回すと、左側に1台の軽トラと1人の男が…。Twitterに顔出しをされているということもありすぐに分かりました。
近づいてくる僕に向こうも気づいたようで、恐る恐るあいさつをする…。
事前情報通り、イシタカさんは気さくな方だったのですぐに不安も消え去りました。
とりあえず雑談をしながら駅の周りを軽く散策し、軽トラに乗り込むことに。
初めに訪れたのはすっぽんの養殖場

イシタカさんも以前から気になっていたという「瀬戸すっぽん養殖場」へ行くことになりました。
イシタカさん「アポなしだけど行ってみようか。どうやって養殖してるか見れるといいね」

養殖場に着くと、敷地内に小さなお店のような建物があり入ってみました。
中では「すっぽん」に関わる商品がズラリと並んでおり、1缶540円というなかなか強気の価格帯で勝負している「すっぽんドリンク」をイシタカさんが奢ってくださいました。
味は栄養ドリンクに近く、スッポンエキスやビタミンが美容・健康、二日酔い、体力回復に効くらしいです。
先入観があったので、青汁みたいに飲みにくいと思っていましたが、割と飲みやすかったです。ただこの価格表示はなかなか…う~んなかなか。

その後、お店のお母さんのご厚意により養殖場の中身をのぞかせてもらえることになりトコトコついていくと、そこには大量のすっぽんが…ッ!
小学5年生を15人体育座りさせるとギッチギチになるであろう大きな容器の中には、20匹弱の良型すっぽんがのんびりしていました。
僕が「飼育しているすっぽんがエサを食べない」と相談すると、お店のお母さん「水温が30℃にならないと食べないわよ!」と教えていただきました。
すっぽん飼育歴20年を超えるプロの情報なので忘れないようにここに記しておきます。
すっぽんは一杯4500円で販売されているらしく、料亭などに卸すことが多いらしいです。
お土産にみかんをいただきました。山北町の人はきさくな人が多い印象です。
自家製の天然酵母パンをリヤカーで販売するパン屋さん「Desture」

次に訪れたのは、自家製の天然酵母パンをリヤカーで販売するという斬新なスタイルのパン屋さん「Desture」
リヤカーを引いていたのは、大学を卒業後に山北へ移住しパン屋さんを営んでいるという「はなさかひろと」さん。さわやかな笑顔が特徴的な方でした。

ちょうどお腹も減っていたので、ベリーとチーズが練り込んであるパンを一ついただくことに。生地がモチモチしていて美味しかったのを覚えています。
こちらがはなさかひろとさんのフェイスブックページになります。
道の途中で出会った「よしともさん」

イシタカさんのお知り合いで、山の上で酪農をやられているらしいです。地元が近いということもあり親近感がわきました。
面白い生き方をしている方だったのでもっとお話を聞きたかったのですが、次へ進むことに
軽トラで丘の上へ移動し、水源を取り巻く林業のお話を聞く

次に向かったのは、イシタカさんの地元を見下ろせる丘の上。奥の方に見えるのは、神奈川県の水源をささえる三保ダムと丹沢湖。
ここでは、以下のようなお話を聞かせていただきました。
- 戦後に行われた拡大造林政策
- 林業の現実と水源を取り巻く林業のあり方
- シカの食害によって起こる水源への被害
林業や狩猟を行うことが神奈川の水源を守ることに繋がるというお話をしていただきました。歴史やロジックを交えての解説だったのでとても分かりやすかったです。
高速道路が開通するらしい

山北町に新東名高速道路が開通するらしいです。「山北スマート」というIC(インターチェンジ)を作るらしいので、観光客の流れが見込めますね。
イシタカさんの仕事場(針葉樹の森)へ潜入

普段はこの森で林業の仕事をしているらしいです。伐採しなければいけない木の本数や範囲などを計算した上で、計画的に伐採を行っていることを解説していただきました。
写真にある白いひもで区切られた区画の中に5本の木が生えているのが理想の状態とのこと。

Gopro Hero7Black を持ってきていたので、なんだかいい雰囲気の写真が撮れました。
樹齢2000年の箒杉(ほうきすぎ)がめちゃデカい

次に訪れたのは、イシタカさんお気に入りのスポットです。

樹高は42.5mにも及ぶとされる巨木です。神奈川県下だけではなく、関東地方でも有数の巨木とされており、その樹齢は2000年を超えると言われています。
木の根元に写るイシタカさんと比較すると箒杉のスケールがイカれていることがお分かりいただけます。
巨木マニアの方ならぜひ一度は訪れてみたい場所なのではないでしょうか?
西丹沢ビジターセンターへ立ち寄り、隣を流れる渓流で一休み

ハイキングや登山をする人用にさまざまなグッズが置かれていました。


ビジターセンターの隣を流れる渓流へ行くと、イシタカさんが気持ちよさそうに眠り始めたので僕も真似して寝てみました。

この渓流の水中映像をとってみました。バチクソ綺麗だったのでどうぞ
GoPro HERO7Blackでこんな映像が撮れました!#GoPro #Rentry #丹沢 pic.twitter.com/xDtkXD0SV8
— ガリオ (@gario01) April 7, 2019
シカの食害と水源に関する試験場に立ち寄る

この施設は、シカの食害の影響と水量の関係性を調査している場所です。片方の調査区域ではシカが入れないようにネットを張っていて、もう片方の調査区域には何もしていません。
細かい説明は省きますが、シカの食害によって土砂崩れなどが起きる危険性があるため、水量を用いて調査を行っているそうです。
そんなこととはつゆ知らず、調査施設である小さなダムに溜まっている水の中になにやら動くものを発見した僕は捕獲を試みることに。
「長い棒が必要ですね!」
といった会話もすべてセンサーカメラに記録されているとも知らずに…。後になってイシタカさんから教えてもらいました。
お腹が減ったのでイシタカさん家へ

イシタカさんが突然こう言うんですよ
「鹿肉とかイノシシ肉とか食べたい?」と
え…。
え……。
えぇえぇぇえぇえーーーー!!!!
いや食べたいに決まってますよね。だってわし野食家ですもん。
ということでイシタカさん家に到着
きこりメソッドで有名な、あの「鉈(なた)」を触らせてもらう

イシタカさんのTwitterをフォローしている方ならご存知かと思いますが、#きこりメソッド で有名なあの「鉈(なた)」を実際に触らせていただきました。
ずっしりと手にかかるその重さに驚くとともに、殺傷能力が高い武器を所有することに対する恐怖も芽生えました。
中二病の男の子じゃないですけど、「俺に近寄るなぁ!!誰も傷つけたくないんだぁ!」みたいな感じですね。力を持つっていうのは怖いものです。
斧や鉈を使った薪割体験をさせてもらう
これは、鉈で枝を切る動画です。イシタカさんが軽々しくやるので僕もやってみましたが思ったより難しかったです。
突如として始まる超豪華な野食会

シカやイノシシの肉を食べれると聞いていたのですが、その他にもたくさんの野生食材を提供していただきました。
僕が野食家を名乗っているということもあり、ここは完全にイシタカさんのご厚意に甘えさせていただきました。
ここでは、イシタカさん家で急遽はじまった野食会のメニューをご紹介します。
オオスズメバチの幼虫の塩漬け

オオスズメバチというそれはそれは貴重な野生食材が初めに来ました。
そもそも「蜂(はち)」という生物は人を死に至らしめるほどに危険な毒をもっています。そのため入手するのが難しいです。ましては蜂の巣駆除では殺虫剤を用いるため、巣の中が殺虫剤まみれになってしまい、食材としての価値は失われてしまいます。
そんな中!そんな中ですよ!!!オオスズメバチってあなた…蜂の中でもトップクラスで危険な種のですよ…!幼虫を塩漬けにしちゃったってんだからもう!!んもう!!
やばみざわ極みですよ。(突然の語彙力)
オオスズメバチの巣を殺虫剤を使うことなく駆除しないと手に入らない超貴重な野生食材ってことなのでとにかくヤバいのです。普通に生きてたらぜーーーったい手に入らないのです。

塩味はかなり効いていましたが、中の体液がプリュっとはじけて下を包むクリームが最高でした。外の皮はかなり噛み応えがあり、なにやら貝を噛んでいるような食感でした。5億点満点ですね。美味い!!!
丹沢で獲れたイノシシ


豚も元々はイノシシだからね。安定して美味しいよね。後で紹介する福井県産のイノシシと比べると少し硬かった気がする。筋が切れにくい感じ。食べる餌によって肉質が変わるらしい。
どんぐりなどの餌を食べると美味しくなるみたいなので、季節によって味も変わるのだろうな。狩猟を始めたらしっかり検証していこうと思う。
丹沢で獲れたシカ

こちらもたくさん焼いてくださっている。
イシタカさんは「冷凍庫のこやしになっていたから」とおっしゃっていたが、さすがに太っ腹すぎるのでは???
このあと人を埋める手伝いでもをさせられるのか!?と不安をいだきながらもモグモグいただきました。

猟師の中ではシカはあまり人気がないみたいだけど、個人的にはイノシシよりもシカ肉の方が好きな気がする。
シカ肉のバターソテー(イシタカさんお気に入り)

イシタカさんが「これが一番おいしい」というシカ肉のバターソテーを調理していただくことに。豪快にカタマリごとフライパンに入れ、バターの海でゴロゴロ転がしながらなじませていきます。30分ほどしたらOK

これは破壊的な美味しさでした。ローストっぽくなっているのもGOODポイントなのですが、バターの風味が肉になじんでいて、獣の臭みを完全に消しているのが最高でしたね。

作ったバターソテーはその場でパッキングして持ち帰らせていただくことに!(といってもこのあとたくさんお土産をいただくことになるのですが…)
福井県で獲れた3月のイノシシ

丹沢で獲れたイノシシとは若干肉質が異なりました。筋を噛んだ時にそこまで力を入れなくても噛み切れるんですよね。
もちろん美味しいです。野生的な肉とはこんなにも人を興奮させるのかと自問自答してしまうほどにハマってしまいましたね。
その場で獲れたカミキリムシの幼虫




感想としては、ふかしたジャガイモの皮を食べているような感じですね。いや美味いですよ。
その後も、二人の「カミキリムシが足りない。もっと獲ろう」という意見が一致してさらに薪を割ることに

少し焦げ目のついたカミキリムシは香ばしく、苦味などは一切ないため、酒のつまみなどにも出来そうなくらい美味しかったです。
大量のお土産をもらう

今度プライベートで野食会を行うと話したところ、大量の食材をお土産としていただけることになりました。
再三言っておきますが、軽トラツアーにくれば色々食べれるわけではありません!僕が訪れたタイミングやイシタカさんの都合などが良かったという奇跡が重なったものなのでご注意を。
2、3時間食べ続けた2人の野食会は終わり、片づけをして帰宅することに
山北町では「さくら祭り」を行っていた

駅前に戻るとさくら祭りを行っていました。こういう風景はなんだか好きです。
最後に銭湯に入り家へ帰宅
最後に、イシタカさんと駅前の銭湯にはいって今回の軽トラツアーは終了になりました。
今日初めて会ったにもかかわらず、一日の終わりには裸の付き合いでなっているというなかなか急展開な感じでした。でもまあ僕の持つ「野食」とイシタカさんの持つ「狩猟」というジャンルが重なる部分も多く、なんだか昔から知っているような不思議な感覚も芽生えました。
Twitterで突然DMを送ってきた見ず知らずの野食家に丸一日付き合っていただきありがとうございました。めちゃめちゃ楽しかったです!!!
改めてここでお礼を申し上げます。
最後に
今回は、イシタカさんのことや山北町のこと、軽トラツアーの内容などをご紹介しました!
イシタカさんは時々無口になるときもありますがとっても気さくな方だったので、山北町に興味があるかたはぜひお会いしてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。