気になったので、内容物を解析して何の動物の糞なのか考察してみました。
ということで今回は、野生動物の糞を解析する方法や動物の糞の見分け方が記載されている図鑑の紹介をしていきたいと思います!
僕は以前東農大の野生動物学研究室に所属しており、そこで学んだ知識や方法を用いて解析するんですけど、必要な専門道具などもあるので完全再現はできません。
一般家庭にもあるような簡易的な道具を用いるので、割と適当な解析方法になりますがご了承ください!
田んぼで立て続けに3種類の糞を見つける
①名前「オリンピック」
一つ目の糞は、コロコロとした形状のせいかドングリと間違えて口に入れる寸前でした。近くで嗅いだら少し臭いましたね。
5つ並んだ見た目から、名前は「オリンピック」になりました。
②名前「親方」
二つ目の糞は、どっしりと構えていました。小さいながらもその存在感はなかなかのものです。これも少し臭いました
そのため、名前は「親方」です。
③名前「公務員」
三つ目の糞は、オーソドックスなタイプでした。比較的身近に感じるような安定した形の糞ですね。かなり時間がたっていたのか、臭いはあまりしませんでした。
お手本のような形をした糞だったので、名前は「公務員」になりました。
糞を持ち帰る際の注意点
野生動物の糞には、ばい菌や寄生虫が含まれている可能性があるため、決して素手で触らないでください!割りばしや使い捨てのキッチン用ゴム手袋などをご使用ください。
野生動物の糞を解析する方法
準備するもの

- コップ(透明でもなくてもい)
- 皿(内容物を乾かすため)
- 茶こし(重要)
- 割り箸
本格的な「内容物分析」になると専門の道具が必要になりますが、一般家庭にある道具だとこれらが用意できればとりあえず内容物解析は行えます。
【手順①】コップに糞と水を入れる
※家でやろうとした際に母親に猛反対されてしまい、家の外で極寒の中作業をしていたため作業工程の写真がありません。ただ写真がないと分かりにくいと思うので、糞をろ過するシーンでは、砂利を糞に見立てて再現した写真を使用します。
【手順②】割りばしでよく混ぜて溶かし、茶こしに流す
糞を水に溶かすことで、内容物(未消化物)と糞を分離させます。
【手順③】糞を念入りに洗い流す
糞の内容物(未消化物)だけが残ればいいので、水に溶ける糞はろ過して流します。
家の水道でやるとさすがに不衛生なのでせめて外かトイレでやりましょう。
【手順④】内容物と糞を分離出来たら皿にのせる
溶かした糞を洗い流し、内容物(未消化物)のみになったら、皿にのせます。
【手順⑤】薄く広げて乾かすスピードを上げる
完全に乾かすまでに2日ほどかかる上に、乾燥すると風で飛んで行ってしまうので安全な場所で乾燥させてください。
使用した道具はアルコール消毒を行ってください。
【手順⑥】糞の内容物を観察しよう

左上 | オリンピック |
---|---|
左下 | 親方 |
右 | 公務員 |
「オリンピック」の内容物
オリンピックはコロコロした糞でしたね
全体的に見てイネ科の植物や種、ミミズの未消化部分のようなものが出てきました。
これは、なんの植物でしょうか?解析方法は知っていても、植物の種を同定するための図鑑などがないとさすがにぱっと見ではなんの植物かわかりません。
何か葉っぱのかけらのようですが、特徴がほとんどなくなってしまっているため判別が難しいです。
全体的に植物質の未消化物がある。少し匂う。一つ一つがコロコロしている。
「親方」の内容物
親方はこんな感じの糞でした。
未消化物は、ほとんどイネ科植物でした。
小動物の骨が出てきたので、肉食獣であることが分かります。
指のような尻尾のような部分の骨に見える、ネズミかモグラかな?
未消化物はほとんどイネ科植物。小動物の骨も出てきたから肉食獣なのか確定。 少し臭う。柔らかい。
「公務員」の内容物
公務員はこんな感じだったよ
これが一番バラエティーに富んでます。
確実に鳥の足ですね。鳥を食べるということは、ネコやキツネ、アライグマ、イタチ、ハクビシンなどの可能性が高いです。
イヌが好んで鳥を捕食するという話はあまり聞かないので、イヌの線は薄いです。
骨をかみ砕いた痕跡が見られます。
これは羽軸ですね。僕は鳥に詳しくない上にかなりバラバラなので、これが何という鳥なのかはわかりません。
ただ、このフィールドはムクドリをよく見かけるのでもしかしたらそれかと。
乾燥していてあまり臭わない。鳥の残骸が多数。細長い形の糞。
糞の内容物を解析した結果
- 「オリンピック」:少し臭う。内容物不明。コロコロした形
- 「親方」:少し臭う。イネ科植物と小動物の骨。やわらかい形
- 「公務員」:あまり臭わない。鳥の骨。細長い形
総評はこんな感じです。それでは考察していきましょう。
考察
オリンピック=イヌ?ネコ?
イヌ、ネコ、キツネ、ハクビシン、イタチ、タヌキ、アナグマ、アライグマ、ウサギ、サルといった動物たちの糞の画像を検索したんですけど、オリンピックと唯一近いのが「イヌ、ネコ」
僕が飼っていた犬もこんな糞をしていたんですけど、ネコも同じような糞をしているのを見かけたことがあり、はっきり結論付けることはできませんでした。
親方=タヌキ?
この糞はかなりゆるくて、形の特徴が消えていました。
ただ、ウサギやサルはかなり特徴的な形をしているためこうはならない。イタチやハクビシン、テンなら果実や種が入っている。
調べていたら、タヌキを捕獲した人のブログに似たような糞の写真が載っていたため、タヌキのゆるゆるうんちという結論に至りました。
ここは近くに神社があるので生息している確率は高いです。
ただ、タヌキは決まった場所で糞をする習性があるため、今回「ため糞」が見られなかったのが引っ掛かります。
公務員=キツネ?ネコ?

キツネの糞
他の方のサイトから、キツネの糞の画像を引用させていただきました。
公務員の形は細長く、キツネの糞と非常に似ているんですが、この近くでキツネを見たという情報を聞いたことがないんですよね。
加えて、ネコの糞の形にも似ている。
未消化物から鳥の骨が出てきたことから、鳥を好んで捕食するキツネやネコの糞であると結論付けました。
野生動物の糞を見分けるのにおススメの図鑑
日本国内の野生動物の糞を写真で説明してある資料はないかなぁーと探していたところ、こちらのサイトで素晴らしい回答があったので引用させていただきます。
結論から言うと、これらの書籍に動物の糞の写真やイラストが載っているので参考になると思います。
野生動物に出会う本―日本に生きるほ乳動物38の素顔 (アウトドアガイドシリーズ)
巻末に「アニマル・トラッキング」(動物の足跡を読むこと)の紹介で、足跡、フン、食べあとの図がありました。10種類の動物のフンが、イラストで示されています(p146)
新アニマルトラックー野生動物の足跡を追って
足跡についての解説ですが、第三章に「動物たちの落し物」として、20ページ程度の記述があります。
アニマル・トラッキング (ヤマケイ・フィールド・サイエンス) 単行本
第二章に「糞で見分ける」として、7種類の動物のフンの写真(白黒)を掲載。
フィールドガイド足跡図鑑
”足跡データ”として各種動物の糞の特徴が文章とイラストで解説してあります。
アニマル・ウォッチングー日本の野生動物
各動物ごとにフンのイラストがあり、特徴が説明してあります。
哺乳類のフィールドサイン観察ガイド


上に挙げた5つの書籍はどれも1980~1990年代の古い書籍ばかりだったので、比較的新しい2010年の図鑑も載せておきます。
最後に
まだ僕の知識や経験が浅かったので、今回の内容物解析では、確証をもって野生動物種を判別することはできませんでした。
もう少し糞のデータを集めて順次に判断できるようになりたいと思います!
おわり!
こんばんは、今日山で撮った動物の糞はどんな動物の糞が教えてほしいですが…可能ですか?
返信が遅れてしまい大変申し訳ございません。Twitter(@gario01)をやっておりますので、そちらの方に画像を送っていただければ出来る範囲で判別させていただくことは可能です。このブログをずっと放置していまして、、いまさらですみません。本当に