仮剥製

落ちていたチョウゲンボウの死体から仮剥製を作ったので全記録を公開する

チョウゲンボウ 仮剥製 作り方 材料
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ガリオ
ガリオ
こんにちは、ガリオです

この記事では、偶然河辺に落ちていたチョウゲンボウの死体から仮剥製を作るまでの記録を紹介します。

自分は仮剥製はおろか、鳥類の剥製自体製作するのが初めてだったので、鳥類の剥製作りに詳しい東農大の助教授に助言を頂きながらなんとか完成させました。

剥製というジャンルの情報をネットで開拓していきたい

助教授曰く、「剥製というジャンルは書籍も少なくネットにもあまり情報が載っていない」ということでした。

鳥類のように素材の入手が難しいと情報が少ないのは当たり前だと思います。(ネットに記事書くのもだるいしね笑)

僕自身、自分だけの知識と経験としてネットに公開しない選択肢もありましたが、「ちょっと違うよなー」という感じがしました。

僕はもっとオープンに情報共有をして「剥製」というジャンルをネットで開拓していきたいと思っています!

まぁとはいっても、今回の仮剥製はそんなに完璧に作れたわけではないのであんまり偉そうなこと言えないんですけどね!

これからチョウゲンボウの仮剥製を作られる方にとって参考になればいいな、という思いでいちデータを残します。

橋の下に落ちていたチョウゲンボウの死体を見つける

フィールドワークをしに河川敷を歩いていたところ、車が通る橋の下に鳥が落ちているのを見つけました。

上を向くと、おそらくチョウゲンボウのと思われる巣があったので、誤ってそこから落ちたか、巣に帰ろうとして橋にぶつかって落ちたのではないでしょうか?

僕は鳥類にあまり詳しくないので、鳥屋の先輩に写真を送ったら「チョウゲンボウです!」と即答されました。さすがすぎる。

ちなみに、メスか雌雄不明の幼鳥らしい

野生動物学研究室(通称:やどうけん)にいると、落ちていた生物を研究室に持ち帰るのが当たり前になっているので、ビニール袋に入れて研究室へ。

自分はあまり興味なくても、他の人が欲しがるかもしれないのでとりあえず持ち帰るのが吉です。

鳥類や哺乳類は特に入手しずらいので、案の定持ち帰ったら割と喜ばれました。

猛禽類の遺伝子研究やってる学部生には肉片を、鳥好きの院生には骨格を、教授には鼓膜を見せ、僕は仮剥製を作るための皮を頂戴しました。

チョウゲンボウの仮剥製の作り方

使用する道具

  • メス(本体)+刃、(必要なら小さなハサミも)
  • ピンセット 
  • 消毒液(作業後に滅菌消毒)
  • 水:2L
  • 塩:300g
  • 生ミョウバン:200g
  • 焼きミョウバン:50g
  • 樟脳:150g
  • 綿(脱脂綿)
  • 刺繍針
  • 刺繍糸
  • ラベル


【手順➀】皮を剥いで、皮と肉のついた骨を分離する

やり方としては、まずは正中線(体の中心)にメスを入れます。

触ると分かるんですが、中心の胸骨の突起から喉の上(上手い人は首の下)までメスを入れて切り開きます。

鳥類の皮はオカモトのコンドーム並みに薄いので、あまり力を入れすぎないようにしましょう。(実際は羽の毛根が透けて見えるくらい薄いです)

ガリオ
ガリオ
ペンを持つようにメスを握るとやりやすいよ!

鳥類の種によっては鎖骨の中にそのうがあり、そこを切ると液が出てデロデロになってしまうようなので気を付ける。

見栄えをよくしたいなら、切るときにできるだけ羽を切らないようにしよう!

羽はモフモフなので、若干濡らしてやると指でかき分けやすいです。(熟練者はメスの刃の裏を使うらしい)

縦に開いたら次は上腕の骨を取り外していく


上腕の付け根から腕の先に向かってメスを入れ、肉のついた骨を皮から分離させます。

この時、正中線に入れた切り込みから切り始めないように注意してください。

ヘタなイラストで申し訳ないですが、メスの入れ方のイメージとしてはこんな感じです。

切り初めのポイントを独立させることで、後で縫いやすくなるというメリットがあります。

主翼の生え方なんですけど、羽軸が皮膚を通って骨の部分に設置するように生えているので、骨に刃を当てながら切るのがポイント。

また、うっすらとしか覚えていないんですけど、鳥類の腕の一番先(おそらく親指とその他って感じ)は二股に分かれているので、その骨に沿って切らなければならないらしい。(イラストもなく申し訳ない)

 

イメージとしては、アホな小学生がTシャツの袖から内側に腕を抜いて、首元から無理やり出して「インドの修行僧」ってやるような感じ

ピンセットで皮を引っ張りながら、筋の筋(白いところ)をメスで切っていくとキレイに分離させることができる。

上腕に沿ってメスを入れ、皮から肉のついた骨(以後:骨)を分離することができたら、分離させた骨を皮の内側から抜きます。

上腕の骨が繋がって抜きにくい場合は、関節のところで骨を外せば抜きやすい。

両方の上腕を抜いたら、次は頭部を皮から分離させるステージです。

上腕が終わったら次は頭部

縦に切り開いたら次は頭部です。顔周りの皮を慎重に慎重に剥いでいきます。

耳や目の部分、鼻の穴、クチバシの周りが最も難しいから気を付けなければならない。(アップの写真が無くてごめんね)

鼻の穴も皮の方に残せるので、黄色い部分の皮もしっかり残しましょう。

イメージとしては、こんな感じで赤いラインを皮の裏側から切っていく。

頭部の皮を剥いで、フードのように脱いだり着せたりできるようになったらOK

この時、クチバシは皮の方には残せないので、骨と肉がついている頭部の方に残る形となります。

頭部が終わったら次は脚

脚も頭部と同じくらい難しいしだるい。

骨格標本も作る場合は脚の指の骨も必要になるので、指一本一本にメスで切れ込みを入れて剥いていく必要があります。

どこにメスを入れればいいのかは次の図で説明します。

脚に入れたメスを脚の先に向かって進めていき、2本の指に沿うようにY字で切ります。

残った2本の指は、それぞれ指の付け根からメスを入れてください。

4本の指に縦にメスを入れたら、爪の付け根を一周するようにメスを入れ、指の骨から皮を剥がします。

こんな感じに出来ればOK

かなり集中力が要求される作業なので、結構ストレス溜まります。

【手順➁】ハンドソープで汚れを洗浄

血の汚れや土汚れがかなりあったので、ハンドソープでキレイに洗浄しました。

細菌類に対する消毒という意味合いもあります。

あんまり強くゴシゴシすると羽が抜けてしまうので注意! 

チョウゲンボウの皮を水に濡らすとぼろ雑巾みたいになるけど、乾かせば羽のモフモフ感は復活するので安心してください。

採取した肉はパーツに分けて冷凍保存し、後日こっそり食べました。

一部の肉片は遺伝子の研究をやってる同期と先輩にあげたよ~。

【手順➂】なめし液にすぐ浸けれない場合はミョウバンをすり込んで冷凍保存

本来であればすぐに「なめし液」に浸けるのですが、時間の都合ですぐに用意できない場合は「焼きミョウバン」をすり込んで冷凍保存します。

「ミョウバン」は皮のタンパク質構造を変性させて腐らなくさせる効果があるので、この後用いる「なめし液」にも使われます。



ミョウバンには「生ミョウバン」と「焼きミョウバン」の2種類がありますが、すり込む場合は「焼きミョウバン」をすり鉢で粉になるまで砕いて用います。

ガリオ
ガリオ
こんな感じでゴリゴリゴリゴリすり込むのだ!!

上腕骨があった部分も忘れずにすり込もう!

体の隅々まで焼きミョウバンを行き渡らせるのが、長期保存のコツ!

途中、脂肪の塊を発見したのでできるだけ取り除く

本来であれば、焼きミョウバンをすり込む前の作業として、皮下脂肪を出来るだけ取り除かなければならないのですが完全に忘れていました。

上の写真中央に見える、白っぽくて黄色っぽいのが皮下脂肪です。

脂肪を残したまま完成させると、時間が経つにつれて脂肪が染み出してきて、臭いもするのでできるだけメスでそぎ落として取り除きましょう。

【手順➃】なめし液に最低1週間以上浸ける

なめし液の比率

  • 水:2L
  • 塩:300g
  • 生ミョウバン:200g
  • 樟脳(しょうのう):150g 


水と塩なら一般家庭にもありますよね。

生ミョウバンと樟脳ですが、どちらもAmazonで購入可能なので問題ありません。

防虫剤である樟脳はあってもなくても構いませんが、入れておくと保存性が高まるので安心です。


僕はいつもAmazonで、「藤沢樟脳」を購入しています。

樟脳はなかなか水に溶けないので、あらかじめ粉々に砕いてから入れればよかったです。

かき混ぜながら棒で叩いてできるだけ粉にしました。

なめし液が完成したら、いよいよチョウゲンボウの皮を入れていきます。(焼きミョウバンは付いたままで構いません)

先ほども言いましたが、ミョウバン溶液に浸けることによって、皮のタンパク質が変性し腐らなくなります。これが「ミョウバンなめし」です。

なめし処理は他にも、「タンニンなめし」「クロムなめし」などありますが、仮剥製を作る上で必須なので必ず行いましょう。

まだ樟脳が溶け切っていないですが…(笑)、このなめし液に最低1週間以上は浸けましょう。

チョウゲンボウの皮が水面より上に出てしまう場合は、水を入れたペットボトルを重し代わりにして対応します。

少なくとも最低1週間はなめし液に浸けましょう。

僕は卒論が忙しくなってしまい、結局4.5ヶ月くらい浸けたままにしてたけど無事完成したから浸けすぎても大丈夫!(笑)

【手順➄】最終段階「縫って綿を詰める」

なめし液に浸け終えたら、次はいよいよ綿を詰めて縫っていきます。

上腕骨があった腕の部分には綿を詰めるスペースが無かったので詰めませんでした。

あんまり皮の縁ギリギリで糸を通すと強く引っ張った時に破けてしまうので、上手い感じに縫いましょう。

上腕骨の根元などの、少し皮にゆとりがある場所には入っていた骨と同じくらいの量の綿を詰めましょう。

指も一本ずつ縫って元に戻していきます。

玉止めが下手すぎて結び目がピョロンしちゃったけどまぁOK

非常に根気のいる作業なので、忍耐力が無い人がやったら秒で飽きそう。

翼と脚、指、正中線(首元まで)縫って、綿を詰めていくとこんな感じです。

ガリオ
ガリオ
結構もとに戻ってきたよね

頭部もギリギリまで縫ったら綿を詰めていきます。

指で詰めるのは限界があるので、細長い何か(今回は割り箸)でグイグイ押し込む

ぬいぐるみのイメージでやってたら、助教授に「え。もっと詰めていいよ」と言われたので、触り心地が比較的固くなるまでぎっしり詰めました。(糸を通した皮膚が破けない程度にね)

一応これで綿を詰めて縫うの完成!!

完璧な仮剥製を作る場合は、最初の工程で分離した頭部を粘土でかたどりして、仮の頭部を作成します。

目にはガラス玉を使うそうです。

ただ今回はその作業をする余裕がなかったのと、骨格は別の方にあげてしまっていたのでやりませんでした。

【手順⑥】ドライヤーで羽を乾かしてモフモフ感を再現

羽が濡れているとまるでハゲているように見えてしまうので、あの頃のモフモフを再現します。

あとはラベルを付ければ終了。

どうでしょう…この出来栄え…。うーん…苦笑

毛並みを揃えようと結構頑張ったんですけど、これが限界でした。

顔が無いっていうのもあるのかな?なんかあんんまり上手く出来た気がしない。

指導に当たってくださった助教授に感想を求めたところ、

「まぁ初めてだし上手くできたんじゃない?」と優しい返答がありました。

まぁ仮剥製どころか鳥類の剥製自体初めてだったので、形にできただけでも良しとしましょう。

ラベルを付けて完成

ラベルには以下の事柄を記入しました。ちなみに、ラベルの無い標本は学術的には価値が無いとされています。

  • 和名
  • 性別
  • 学名
  • 採集日、採集場所、採集者
  • 全長、重量

これらが書いてあれば大丈夫でしょう。

保管方法

保管方法ですが、まずは形が崩れないように新聞紙で筒を作ってスポっと収めます。

次に、ジップロックへ入れて標本庫へしまえば終わりです。

鳥好きな先輩の顔をはめてみた

顔が無いとあまりにも寂しかったので、鳥好きな先輩の顔をはめてみました。

輝いてますね。

ガリオ
ガリオ
おっ、獲物を探してますね

最後に

今回は、たまたま拾ったチョウゲンボウの死体から仮剥製を作る記録をご紹介しました。

僕自身ド素人なところもあり、ネットにも全くと言っていいほど情報が載っていなかったので全部が全部正しいわけではありません。

ただ、これからチョウゲンボウの剥製を作ろうとしている方にとって何か少しでも参考になれば良いなと思います!

おわり!

ガリオ
ガリオ
そんじゃさいなら

このブログを読んでいる方で、今後どこかで野生動物の死体を見つけることがあるかもしれません。

「無駄にしたくないけど活用法が分からない」という方はぜひ僕にご連絡いただけると幸いです。

メアド:uzurar0523@gmail.com

自分は皮でも骨でも肉でも全てモノ作りの素材になりますので、善意で提供していただけると大変嬉しく思います。

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