この記事にはイノシシを捌く(さばく)過程の画像が含まれています。また、血や内臓といったグロテスクと捉えられるものが含まれているため、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
そう思っている方が今この記事を読んでいられると思います。
この記事では、イノシシから皮を剥ぐ工程から「ミョウバン」を使ってなめす方法までご紹介します。
使った材料やなめし液の比率、日数などをまとめてみたので、何かの参考にしていただけたら幸いです。
結論から言うと、制作期間は3か月(頑張れば2か月くらいでいける)、かかった費用は約4000円ほどです。
イノシシにおける皮なめしの方法
【手順➀】イノシシの皮を剥ぐ
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もし手元にイノシシがまるごとある場合は、皮を剥ぐ必要があります。
とはいっても皮を剥ぐことだけをみればそこまで難しくありません。(皮に脂肪を残さないように剥ぐのは難しいですが…)
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ますはよく切れるナイフやメスを使って正中線(頭から縦に真っすぐ通る線)に刃を入れていきます。
次に、皮の切れ目を手で引っ張りながら皮と肉の間にある膜や皮下脂肪をナイフで切っていくだけです。
この時に、できるだけ皮下脂肪を皮に残さないように剥ぐと後の工程で楽になりますが、その分皮を破いてしまうリスクも高くなるので、初めての方はギリギリを攻める必要はありません。
手足の皮に関しては、手首と足首周りに1周切り込みをいれて剥ぎます。
手先や足先の皮まで完璧に剥ごうとするとめちゃめちゃ大変なのでここでは剥ぎません(完璧に剥ぎたい方は頑張ってください)
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イノシシの皮を剥ぐとこのような形になります。
4人以上で作業を行っていましたが、皮を剥ぐのと同時に内臓の除去や食べる用の肉を切り分けも行っていたため3時間以上はかかった気がします。
ナイフの切れ味が悪いと進むスピードがめちゃめちゃ遅くなるので、皮を剥ぐ前にしっかり研いでおくか、解体用の専用ナイフを購入されることをおすすめします。
この後すぐに除脂できない場合は袋に入れて冷凍保存しておくと腐らない上に、マダニや寄生虫が死滅するので安心です。
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自分はAmazonで一番安いステンレスのスキンナイフ(上のやつ)を購入しましたが、一度使用したら軽く刃こぼれしてしまいました。
もし予算に余裕がある場合は、白紙鋼などを使っている上質なナイフ(下のやつ)を買った方がいいです。
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【手順➁】皮の汚れを洗い流す
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凍っているとナイフで脂肪を取り除くことができないので、水をいれた衣装ケースで解凍させます。
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かなり柔らかくなってきた
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皮を解凍して開くことができたら、一度地面に敷いて草や泥、寄生虫などをシャワーの水圧で吹き飛ばしていく。
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まだまだ細かい汚れは落ちていないので、ハンドソープを大量に入れてもみ洗いしていきます。
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【手順➂】専用のナイフを使って皮の除脂をする
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ここからは、皮に残った脂肪を取り除く「除脂」を行っていきます。
用意するものは
- イノシシの皮
- スキンナイフ(スキナーナイフ)
- バケツ
皮を剥ぐ工程では切れ味が悪いナイフでもなんとかなりましたが、除脂を行う際は鋭いナイフがない脂をしっかり取り除くことが不可能に近いです。
そのため、安くてもいいのでスキンナイフを1本購入されることをおすすめします。
僕はAmazonで一番安いスキンナイフを購入しましたが、とりあえずイノシシ1頭分はなんとかストレスなく作業ができました。
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まず自分が段差のある所に座り、バケツにイノシシの皮を被せ(毛の部分をバケツ側)、バケツを脚の間に挟みます。
次に、バケツを自分側に少し傾けてナイフの刃を斜め上からスライスするように当てれば皮下脂肪(白っぽいピンクの膜)を皮から剥がすことができます。
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上手く除脂ができれば、黒い点の毛穴が見えてきます。
(思いっきりやったら皮が切れてしまうのでは?)と思う方もいらっしゃると思いますが、イノシシの皮はかなり丈夫なので、垂直に刃を当てて思いっきりスライスしたり突き刺したりしない限りは簡単には切れません。
こればかりは実際にやってみないと分かりませんが、ナイフの刃が毛穴に到達すると、毛根を切る「ジョリジャリ…」という音が聞こえてきます。(毛根が多少切れてしまうのは仕方ないので気にしないでください。)
その音が聞こえてくるまでは強気でナイフの刃を食い込ませても大丈夫です。
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高圧洗浄機を使った除脂はそこまで効果がない
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上の写真をみると上手く脂肪が取り除けているようみ見えますが、実際はそう簡単ではありませんでした。
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高圧洗浄機を使えばある程度の脂肪を取り除くことができますが、表面をよく見ると薄い膜が全体的に残っています。
結局これをスキンナイフで取り除くことになるので2度手間になりました。
鼻の除肉が難しい
イノシシの鼻は肉厚なので、裏返しにしたりして除肉する必要があります。
ここでは細かい動きが求められますので、小型ナイフよりももっと小さいメスなどがないと上手く肉を取り除くことが難しいです。
また別の方法として、イノシシの鼻に直接ホルマリンを注射することで肉の固定ができるそうです。(自分はやっていません)
8時間かけてイノシシ皮の除脂が終了!
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初めてということもあり、除脂を終えるまでに約8時間かかりました。
くるぶしのへこみや耳の薄皮など、時間がかかる部位がいくつもあったので、ある程度綺麗にするには時間がかかることが分かりました。
【手順➃】なめし液につけてコラーゲンやタンパク質を変性させる
動物の皮は放っておくと、硬くなり腐敗が進んでしまいます。
ですが、ミョウバンやタンニンなどのなめし材を含んだ「なめし液」に浸けることで皮のタンパク質を変性させることができます。
その結果、柔軟性を保ちつつ腐敗しない革に変わるのです。
なめし液の材料と比率
- 水:6L
- 樟脳(しょうのう):84g
- 塩:600g
- ミョウバン:300g
※この比率は実験的なものです。最適解ではありません。
樟脳(しょうのう)とは、防虫剤のことです。研究室にいる標本作りに詳しい先輩から教えてもらいました。
樟脳を入れると保存性が高くなるそうです。
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イノシシの皮が浸かる量を考えて、水を6L入れました。
樟脳の溶け具合が非常に悪かったため写真では浮いていますが、事前にしっかり砕いて粉にしておけばちゃんと沈みます。
12日ほど浸けてみる
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他のサイトで紹介している皮なめしの方法では1週間くらいつけておけばOKと記載されていましたが、自分はうっかりしていて12日ほど放置していました。
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手で握った時に形が残ればOKらしいのでとりあえず挙げてみます。
【手順➄】皮を伸ばして日陰で乾かす
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イノシシをなめし液に浸けてタンパク質を変性させることができたら、次は乾かす工程に移ります。
適当に広げて干しておくと硬く縮んでしまうので、できるだけ皮を伸ばした状態で乾かします。
また、直射日光でいっきに乾かすとあっというまに皮がパリパリになってしまうそうなので、日陰で干すことが推奨されています。
本来は、木の板に釘で打ち付けることが望ましいのですが、自分は用意できなかったのでダンボールで代用しました。
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釘を打ち付けることはできませんが、ホッチキスの芯は通ります。
折ったり叩いたりすると多少柔らかくなる
「日陰でじっくり乾かしていく途中で、皮を叩いたり、硬い石でこすったりすることで皮が多少柔らかくなる」
という情報をネットで見つけたので試しにやってみました。
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ゴシゴシゴシゴシゴシ…………
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奥の半分の黒いのは、硬い石で強くこすった部位です。
正直皮の硬さの違いはあまりよく分かりませんでしたが、何度も折り返してグニャグニャさせてたら気持ち柔らかくなりました。
硬さのイメージは段ボールより薄く硬いって感じです。(加工しづらそう)
イノシシのなめし皮が完成!
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とりあえず、これにてイノシシの皮なめしは完了です。
あとは玄関マットにするなりレザークラフトをするなり色々な使い道があります。
ちなみに自分はイノシシマスクを作ってみました
最後に
今回は、イノシシから皮を剥ぐ工程から「ミョウバン」を使ってなめす方法までご紹介しました。
多くの人にとってイノシシを入手すること自体が困難かと思われますが、知り合いに猟師の方などがいれば意外と譲ってもらえたりすることもあるかもしれません。
皮なめしの種類はいくつもあり、ミョウバンなめしのほかに「タンニンなめし」、「クロムなめし」などが有名です。
なめし方によって仕上がりが変わるので、今後も色んな自然素材を使って皮なめしをしていきたいと思います。
おわり