この記事にはカミツキガメを捌く(さばく)過程の画像が含まれています。また、血や内臓といったグロテスクと捉えられるものが含まれているため、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
先日、カミツキガメの全身骨格標本作りを終えました(のんびりやりすぎて5ヶ月かかった…)
クオリティとしては素人レベルのモノですが、備忘録としてここに記録しておきます。
骨格標本作りの基本的な流れ
- 標本個体の捕獲+絶命
- 除肉+脱脂(この記事ではここまで解説します)
洗浄+乾燥(後編で詳しく解説します)組み立て完成!
骨格標本作りの流れをおおざっぱに説明するとこんな感じです。
除肉や脱脂は様々な方法がありますが、今回の制作では「水に浸ける」という手法を用います。
カミツキガメの全身骨格標本作り
【手順➀】まず初めにカミツキガメを捕獲する
まず初めに、骨格標本の元となるカミツキガメを捕獲してください。
カミツキガメの釣り方に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。
カミツキガメは外来生物法によって「特定外来生物」に指定されているため、生きたままの運搬が法律で固く禁じられています。
骨格標本にするために持ち帰る場合は、その場で絶命させる必要があるため、一瞬で首を落とす準備をしてからカミツキガメ釣りを行うことをおすすめします。
捕獲したカミツキガメを絶命させる方法・さばき方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【手順➁】解体して内臓を取り除く
甲羅と手足をバラした方が骨格標本作りがしやすいので、腹甲を開いて解体しましょう。
さばき方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
甲羅と手足、頭部、尾部をばらすとこんな感じです。
まだ、甲羅の裏や手足には肉がたくさんついているので、次の工程で「除肉」を行っていきます。
【手順➂】甲羅の除肉と脱脂を行う
酸素ポンプを使用し、1ヶ月間水に浸ける
骨格標本作りにおける除肉の方法はさまざまです。
- 虫に食わせる(ミルワーム、カツオブシムシ等)
- 土に埋めて微生物に分解させる
- 薬品に浸けて肉を溶かす
- 水に浸けて微生物に分解させる(今回行う手法)
虫を使った方法は比較的短時間で除肉を行うことができますが、放っておくと細かい骨まで食べてしまう危険性があり、薬品も長くつけすぎると軟骨などが溶けてしまいます。
今回用いる「水に浸ける」手法は、時間はかかりますが他のどの手法よりも骨をキレイに残すことができるのでおすすめです。
「水に浸ける方法」は、水中にいる好気性細菌に肉を分解させるため、酸素ポンプを使用することで効率的に除肉を行うことができます。
水に浸け始めた初日はキレイですが、一日経つとめちゃめちゃ汚くなります。
たった一日置いただけでかなりの腐臭が漂うようになりました。
家族から苦情が寄せられるようになったので外に置くことに…。
外に置いていてもかなり臭うので、サランラップをかけたところかなりマシになりました。
水が数日で臭くなるため新しい水に変えたくなりますが、せっかく増えた好気性細菌をリセットすることになるため、できるだけ我慢しましょう。
経過日数と除肉の進行具合の写真
甲羅に肉をたっぷり付けたまま水に浸けましたが、17日経過したところで背骨の裏の肉を除いて比較的綺麗に除肉が出来ました。
その後、水圧を強くしたシャワーをかけたところ、背骨の裏の肉もトロトロと流れていきました。
除肉の方はほとんど終えたのですが、骨の中にある脂を抜く「脱脂」はまだ完全ではないため、引き続き水に浸けることにします。
17日水に浸けて分解させたことで、骨と骨がバラバラになりやすくなっているため、穴を空けたジップロックに入れて水に浸けます。
水に浸け始めてから25日後
25日間水に浸けて、カミツキガメの甲羅の縁にはもともと穴が空いているという事実に気づきました。
亀の甲羅は肋骨が進化して出来たものなので、甲羅の内に刺さるように伸びている形状にも納得できます。
これ以上浸けていると骨が完全にバラバラになってしまうため、水に浸けるのはここで一度中断しました。
あとで分かりますが、脱脂はちゃんとできていました。
手足、頭部、尾部の除肉と脱脂
本来は、手足、頭部、尾部の全ても甲羅と同じように水に浸ければ話が早いのですが、元々は食べる目的で捕獲したので、少し骨格標本作りの正規ルートから外れます。
ちなみにカミツキガメの食べ方や調理法・味についてはこちらの記事で詳細を記載しています。
ガーリック炒めや唐揚げにした手足はかなり肉が残ってしまった。まぁ美味しかったけど。
そんなこんなで、調理した骨たちもなんだかんだ除肉が出来ました。
ここで分かったのは、茹でるとめっちゃ綺麗に除肉できるということです。
後々分かったのですが、茹でた部位(頭部、尾部)は脱脂も完了していました。
最も早く除肉をしたい場合は、大鍋で茹でるのが一番手っ取り早いかもしれません。
研究室の標本作りに詳しい教授に聞いたところ、「茹ですぎると骨が溶けるから気を付けてね」とのことでした。
手足の脱脂を別で行う
焼いたり揚げたりした手足は脱脂が出来ていなかったので、脱脂を行います。
甲羅と同じように水に沈めるのですが、手足の骨は混ざるとゲームセットなので、小袋に入れて沈めます。
2週間ほど水に浸けたら、上手く脱脂出来ました。
おまけ:甲羅の薄皮は途中でちゃんと回収しておこう
10日くらい水に浸けておくと、甲羅の薄皮が剥がれ始めてくるので、ジップロックに入れて保存しておいてもOKです。
指でこするとペりッと剥がれるよ。
最後に
今回は、カミツキガメの全身骨格標本作りの前編について解説しました。
初めての骨格標本作りだったので何かと要領が悪いところもありますが、これからカミツキガメの骨格標本を作ろうとしている人の参考に少しでもなれば幸いです。
おわり
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